東京高等裁判所 平成7年(ラ)394号 決定 1995年12月07日
主文
原決定を取り消す。
抗告人らの本件補助参加を許可する。
理由
一 抗告人は、主文同旨の裁判を求め、その理由は、別紙抗告状記載のとおりである。
二 当裁判所の判断
1 一件記録によれば、基本事件被申立人は、平成五年三月一九日、抗告人らと補助参加被申立人有限会社多摩山晴(以下「多摩山晴」という。)を債務者とする職務執行停止・職務代行者選任仮処分を、東京地方裁判所八王子支部に申し立て(平成五年(ヨ)第一一〇号事件)、同裁判所は、同年六月三〇日、別紙主文目録記載の仮処分決定(以下「本件仮処分」という。)をしたこと、同年七月一三日、右仮処分における職務代行者は弁護士中川瑞代に変更されたこと、抗告人らは、平成七年二月一日、本件仮処分取消申立事件(以下「本件申立事件」という。)を同裁判所に申し立てたが、その際、多摩山晴についても、抗告人らが同社について補助参加し、抗告人らが、同社に代わって、本件申立事件を申し立てたこと、原審は、同年三月三一日、抗告人らの補助参加の申立てについて、多摩山晴自らが本件申立事件の当事者となっていないことを理由として、右補助参加の申立てを却下し(原決定)、抗告人らの本件申立事件については、多摩山晴を当事者とすることなく、申立却下の決定をしたことを認めることができる。
2 ところで、本案事件はともかく、会社取締役の職務執行停止と職務代行者選任の仮処分における債務者は、職務執行が停止される取締役と当該会社であり(本件仮処分も両者を債務者としている。)、両者の関係は必要的共同訴訟の関係に立つものと解するのが相当である。そして、右のような関係を前提とするならば、右仮処分の取消申立事件においても、仮処分申立事件における債務者すべてを当事者として審理の上、裁判をする必要があり、また、一部の債務者の申立てにより、他の債務者は当然に当事者になるというべきである。
3 以上によれば、本件申立事件は多摩山晴についても係属しているというべきであり、抗告人らが、右申立事件における多摩山晴についての裁判の結果について利害関係を有することは明らかであるから、抗告人らの本件補助参加の申立ては理由がある。
三 よって、抗告人らの申立てを却下した原決定は失当であるからこれを取り消すこととし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 岩佐善巳 裁判官 山崎健二 裁判官 彦坂孝孔)